医療における患者主体の共同購入モデル

国による医療費抑制が進む中、全国の病院ではコスト削減の一環として、医療材料を中心とした「共同購入」の動きが加速しています。

国内最大級の共同調達組織である日本ホスピタルアライアンス(NHA)には既に 256病院 が加盟しており(平成31年4月現在)、そのバイイングパワー(購買力)を武器に、医療材料メーカー等のサプライヤーとの価格交渉を有利に進めることで、病院経営の改善を図っています。

病院経営としては、医療材料などの医療サービスとして差別化に繋がらない部分の調達は、共同購入によって徹底的なコストダウンを図り、その削減した資金を病院個々の独自性に投資し競争力を高めていくことは、正しいアプローチですし、結果的には患者さんの利益にもつながります。

 

さてここから本題に入りますが、見方を変えて、患者さん同士がグループを作り共同購入するというモデルは存在し得るのでしょうか?

日本の医療は、公的な保険診療のため、処置料、薬代、入院費等、全ての価格は国が決める制度となっています。普通に考えると共同購入は考えられません。

しかし、一部に「保険適用外」となる医療サービスがあります。代表的なものとしては、特殊な遺伝子検査や未承認の抗がん剤治療などがあげられます。

いずれも 公的な医療保険が適用されない、新しい医療技術や薬剤になり、 高いものになると数十万~数百万円 を患者さんが自己負担しないといけません。

そして公的保険適用外となると診療メニューは

病院ごとに料金を自由に設定できるので、(あくまで理論上ですが)共同購入による割引が可能だと考えています。

病院側のメリットは、
-同時に複数の患者を獲得して大きな収入を得られる
-希少疾患であれば症例研究ができる

また、 製薬メーカー、医療機器メーカー、検査会社にもメリットが出てきて
-共同購入によって、今まで経済的に受療できなかった患者さんからの申し込みが増える
-患者さんが増えることで、その治療や医薬品の効果を示すエビデンスデータが増える → 保険適用される可能性が高まる

 

経済力やこれまでの商慣習から考えると、

共同購入による割引の補填は、製薬/医療機器/検査会社 が担う流れになると思います。

もし、この3者メリットが同時に成立するモデルが実現できれば、経済的なゆとりがなく多額の費用がかかる先進医療や自由診療を受けることができない、癌や難病で苦しむ患者さんを救うことができるはずです。

 

特に「難病」は患者さんの絶対数が少なく、製薬メーカーも積極的に投資できないため、難病分野はなかなか新薬の開発が進まないのが現状です。

JDAはこの問題に真摯に向きあい、

重病を患っている患者のために、保険外治療の共同購入モデルの具現化を模索していきたいと考えています。